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四 - 2
切らない――そりゃ御困りでございましたろう」と御客さんは鼻子夫人の方を向く。

    「困るの、困らないのってあなた、私(わた)しゃこの年になるまで人のうちへ行って、あんな不取扱(ふとりあつかい)を受けた事はありゃしません」と鼻子は例によって鼻嵐を吹く。

    「何か無礼な事でも申しましたか、昔(むか)しから頑固(がんこ)な性分で――何しろ十年一日のごとくリードル専門の教師をしているのでも大体御分りになりましょう」と御客さんは体(てい)よく調子を合せている。

    「いや御話しにもならんくらいで、妻(さい)が何か聞くとまるで剣もほろろの挨拶だそうで……」

    「それは怪(け)しからん訳で――一体少し学問をしているととかく慢心が萌(きざ)すもので、その上貧乏をすると負け惜しみが出ますから――いえ世の中には随分無法な奴がおりますよ。自分の働きのないのにゃ気が付かないで、無暗(むやみ)に財産のあるものに喰って掛るなんてえのが――まるで彼等の財産でも捲(ま)き上げたような気分ですから驚きますよ、あははは」と御客さんは大恐悦の体(てい)である。
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