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四 - 10
見識張った男だから博士論文なんて無趣味な労力はやるまいと思ったら、あれでやっぱり色気があるからおかしいじゃないか。君あの鼻に是非通知してやるがいい、この頃は団栗博士(どんぐりはかせ)の夢でも見ているかも知れない」

    鈴木君は寒月の名を聞いて、話してはいけぬ話してはいけぬと顋(あご)と眼で主人に合図する。主人には一向(いっこう)意味が通じない。さっき鈴木君に逢って説法を受けた時は金田の娘の事ばかりが気の毒になったが、今迷亭から鼻々と云われるとまた先日喧嘩をした事を思い出す。思い出すと滑稽でもあり、また少々は悪(にく)らしくもなる。しかし寒月が博士論文を草しかけたのは何よりの御見(おみ)やげで、こればかりは迷亭先生自賛のごとくまずまず近来の珍報である。啻(ただ)に珍報のみならず、嬉しい快よい珍報である。金田の娘を貰おうが貰うまいがそんな事はまずどうでもよい。とにかく寒月の博士になるのは結構である。自分のように出来損いの木像は仏師屋の隅で虫が喰うまで白木(しらき)のまま燻(くすぶ)っていても遺憾(いかん)はないが、これは旨(うま)く仕上がったと思う彫刻には一日も早く箔(はく)を塗ってやりたい。

    「本当に論文を書きかけたのか」と鈴木君の合図はそっち除(の)けにして、熱心に聞く。
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