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五 - 7
めに博士になるなんて、そんな人物にくれるより僕にくれる方がよほどましだと云ってやりました」

    「だれに」

    「私(わたし)に水島の事を聞いてくれと頼んだ男です」

    「鈴木じゃないか」

    「いいえ、あの人にゃ、まだそんな事は云い切りません。向うは大頭ですから」

    「多々良さんは蔭弁慶(かげべんけい)ね。うちへなんぞ来ちゃ大変威張っても鈴木さんなどの前へ出ると小さくなってるんでしょう」

    「ええ。そうせんと、あぶないです」

    「多々良、散歩をしようか」と突然主人が云う。先刻(さっき)から袷(あわせ)一枚であまり寒いので少し運動でもしたら暖かになるだろうと云う考から主人はこの先例のない動議を呈出したのである。行き当りばったりの多々良君は無論逡巡(しゅんじゅん)する訳がない。
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